2016.12.11 シネ・リーブル梅田

音楽をかじった僕らの年齢で、きっと知らない人が居ないであろう偉大なるベーシスト、ジャコ・パストリアス。
彗星の如く世界のトップミュージシャンに登りつめ、晩年はホームレス同然に35歳という若さでこの世を去った孤高のミュージシャン。ある人はレッチリから、そしてある人はメタリカから、そして僕の様にウェザー・リポートから、彼の演奏に度肝を抜かれた人は多いはず。そんな波乱に満ちた彼の短い一生を、様々な証言で綴る素晴らしいドキュメンタリーだった。偉大な功績を伝えるだけでなく、転落していくその過程が、ミュージシャンの視点でリアルに描かれていて、とても興味深かった。
私事だが、10年ほど前に、ジャズの何たるか?が解りたくて、京都のアン・ミュージックスクールのジャズ科に2年ほど在籍していた時期がある。その時、ジャズ・ピアノの個人レッスンを、
亀田邦宏先生に受けていた。武道のようなハードなレッスンが終わって雑談している中で、亀田先生がニューヨーク武者修行時代の頃の話をよく聞いた。「公園にジャコパスが居てさぁ。お前ミュージシャンなら仕事を紹介してくれって言われて、何度かセッションした」って話。あのジャコパスがそんな状態になってたんだとビックリした。酒と喧嘩でよく分からない死に方をしてしまったジャコ・パストリアス、映画の中でスティングが言っている。「伝説なんかじゃないんだ。音楽やる者の全てが通る”ひとつの道”なんだ」と。まさにベースという楽器を超えた何かを指し示したフロンティアであることに異論はない。今彼が生きていたら、どんな音楽をやってるんだろうと時々思う。
▼公式サイト
http://www.jaco-movie.jp/