2014.9.19 シアターBRAVA!
「あまちゃん」の大成功で、当然ながらこういう話になるだろうとは思っていたし、この好機をヴィレッジが見逃すわけが無いとも思っていた。そりゃもう日本の芝居の中でも群を抜くクオリティと安心感、そして千両役者の集結で、まさに「成功した小劇場、東西顔見世興行」であった事は否めない。
松尾スズキがお約束の台本を書き、いのうえひでのりがお約束の演出をする。やっぱり芝居に気合いが入ってたのは橋本じゅんと高田聖子であった。もうアッパレである。いちばんOMSを引きずってくれているのは、やっぱ彼らだなぁと思う。阿部サダヲと古田新太という東西の横綱は当然ながら器用過ぎてお互いに光らず、宮藤官九郎に至ってはもはや友情出演のノリ。そして御大の松尾先生を御輿にしてみんなでワッショイ!ワッショイ!って感じ。
松尾さんとは面識はないけれど、同い年でもあるので注目は一応していた。大人計画も何度となく脚を運んだのだが、今作はやっぱ脚本が悪い。スパイ、秘密基地、ミサイル戦争、地下組織…という、いわゆるボクら世代の昭和のオンパレード。まるで駄菓子屋に居る様な感覚。もうそれだけになっちゃったのかなぁ?と少し寂しくなったのである。そうなるといのうえ側も既視感のある演出となってしまうわけで、小劇場のガチンコ勝負とはちょっと言えないくらいにしっとり落ち着いていた。
有名俳優と小池栄子でほとんどの客は満足だろうが、OMSの元住民としては、独創的な松尾の脚本、何をするねん!な、いのうえの演出、阿部サダヲと古田新太の舞台上の死闘を観たかった。51歳の松尾スズキには「僕でも同じ事したと」思いますわ。めっちゃわかります」と言いたい。松尾スズキは悪くない。小劇場が商売として確立された今を憂うか、喜ぶか?でしかないのである。