2016.3.2 東京芸術劇場旗揚げの第1回からずっと観ている野田地図。どうしたって最初の『キル』が僕にとってのベストだったのだけれど、今作では一掃して、この『逆鱗』がベストに躍り出る。芝居の脚本というものが、ここまで芝居の中で重要だとは思わなかった。よく俳優が「脚本(ホン)に惚れた」などとコメントしているが、今作は観客であるボクが「ホンに惚れた」のである。阿部サダヲ、井上真央、松たか子、瑛太というため息の出るキャスティング。フレッシュな演技が光った瑛太、あれほど演技が出来るとは思っていなかった井上真央、この中では「うまいなぁ〜」とも感じない自分の立ち位置を理解しきった松たか子、そして阿部サダヲの役者魂が炸裂する舞台だった。脚本がこれら有名な俳優をねじ伏せて、引きずり回して、客席までもぐりんぐりんに掻き回してしまう”戯曲の底ヂカラ”を目の当たりにしたのである。本気の野田秀樹はやっぱり凄いと思った。ブラーボー!最高傑作だ。
▼「逆鱗」公式サイト
http://www.nodamap.com/gekirin/