2016.2 .某 心斎橋ウィングフィールド
大阪舞台藝術協会プロデュースによる演劇エキスポ参加作品。毎回、本気の芝居(というか演劇にしか成し得ない純度の高い表現)で一発で贔屓となった犯罪友の会。芝居の先達、九鬼さんや磯島さんにはお馴染みの劇団。今作「白蓮の針」は4年ぶりの再演とのこと。初見。いわゆる勧善懲悪でなく、予定調和を裏切るピカレスク劇。様々な傷を負った登場人物のどれもが、いかに魅力的だったことか…。主演の中田彩葉には1幕目から魅せられ放しとなる。若かりしお辰と現代自制の二役の大活躍。演技に釘付けにさせる迫力があった。凛とした中にシタタカサや、どこか矜持や後悔、そして達観がナイマゼになった主人公の出汁の効いた人生そのものを、見事に演技で表現していた。いったい何が彼女の中に入っているのか?でもおいしい。女優である彩葉の片鱗は役作りの中に残してあるのか?総じてガンボスープの様な素晴らしい人生観、人物感を表現出来ていたと思う。相手役の川本三吉はじめ周囲のキャストの絡み方の妙。よーく練られた演出であるのは手に取るように理解できる。さぞかし稽古は厳しいものだったろうと思うし、役者はずーっと人物像を想像する毎日だったろう。終演後、演劇評論家の九鬼さんをして”よーく練られた素晴らしい芝居”と言わしめた完璧な演劇空間だったと思う。残念なのは音響。箱の問題もあるのだろう。武田一度にとって芝居が主役であって音楽は小道具という感じは凄くわかる。ビジュアルや映像、そして音楽というトリガーで芝居が入ってくる客も存在する。船の嵐のシーンは音の渦に包まれたかった。次回も必ず目撃しないといけない芝居中の芝居を魅せて頂きました。ありがとう。
▼劇団犯罪友の会公式サイト
http://hantomo.wix.com/hantomo