2014.10.13 大阪・中之島ABCホール
台風19号が大阪を直撃するその時刻、千秋楽を決行した伊藤えん魔に敬意を表しつつABCホールへ。さすがに電車が全線ストップという事もあって客席は6割程度。しかしこの状況下で観劇に来た!という気迫みなぎる観客と、天候を憂いながらも久々の会心作に心躍る伊藤えん魔率いる役者たち。18時きっかりにその幕は切って落とされた。
維新開国の幕末の史実をベースに"物の気"の世界観を加えたファンタジー時代劇。キャストは"えん魔組"ともいえるベストメンバー。当然ながらクオリティは担保されているのだが、今作が近年の伊藤えん魔作品の中では大花丸の最高傑作だった。(と個人的に絶賛)
主演の我らが美津乃あわが、カッコいいの何のって…。こういう演出は腐れ縁、伊藤えん魔にしか出来ないな、と溜め息が出るのである。また岩崎弥太郎を演じたイトウエリの独特の存在感が何とも芝居に深みを与えていた。そして両名脇には坂口修一と宮都謹次と来ればもう完璧なのである。河原町役の田嶋杏子がハッとする色気が出ていてビックリした。凄い役者さんだなと思う。仁王丸のえん魔ちゃんは台詞なしで、すんごい芝居をやってるし、今作では殺陣の新しい解釈を入れたんじゃないかって思うほど、自由な殺陣が凄く気持ち良かった。細部に至るまで伊藤えん魔のテーマがしっかり通っていて、そして笑わせて泣かせる。もはや活劇と化したこのチームの次回作が楽しみだ。
嵐の中のカーテンコール、そしてスタンディング・オベイション…。特別なこの千秋楽で目撃出来たのはとてもシアワセだった。